【熊本地震】なぜ円高?震災と為替の関係

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阪神・東日本でも似た動きに、震災で円高が進む理由
先週木曜日(14日)から強い揺れが続く九州・熊本地震。土曜日夜(16日)にも大きな揺れがあり、未だ収束の気配がありません。

週明け・本日の東京外国為替市場は大幅な円高でスタートしました。実は日本では過去の大きな地震「阪神・淡路大震災」「東日本大震災」発生時にも大幅な円高に振れています。

しかし、なぜ国の危機的な状況にも関わらず日本円が買われるのでしょうか?通常、国家が危機的な状況になれば、その国の通貨が売られ暴落しても不思議ではありません。今回はその件に関して調べてみました。



なぜ震災で円高が進む?

まず、震災時に円高が進む理由として「投機的な動き」と「実需の面」が考えられそうです。

投機的な動き

円高(円買い)は、世界的に「リスク回避」の動きが強まると進みやすいと言われます。昨年末からは中国を中心とした世界経済の減速懸念、原油安に応じた世界的な株安が進み、実は前週末にも産油国が原油の減産を見送ったことが影響して、原油価格が再下落。これにより「リスク回避の動」きが一段と強まったと言えます。

なぜリスク回避で円高か?

ここには海外の投資家を中心とした投機筋の動きが大きく影響しています。投機筋は、金利の安い「円」で資金調達し、外国通貨を買い、新興国などの利回りの良い金融商品に投資をします。利回りの良い金融商品はその分リスクが高い。つまり「リスク選好(リスクオン)」となります。

しかし、ここに何らかの事態が発生し、リスクの許容範囲が低下してリスクを回避する動きになる。すると、買っていた外国通貨を売って円を買い戻す → みなが円高になると予測する → 円高が進行する。という流れになります。その、何らかの事態には、原油安、テロ、大規模災害などが当たります。「みなが円高になると予測する」というのがポイントで、まるで連想ゲーム。実態が伴わなくても、皆が予想すればその方向に動きます。


ただし、こうした投機的な流れは、一時的に膨らんだポジションを決済する(買った円を売る)動きや、過度な円高が進むことを警戒して日銀の介入(円売り)がなされる可能性があり、急反発する可能性も秘めています。

実需の面

保険会社の「リパトリエーション」

リパトリエーション」という言葉があります。「リパトリエーション」は、「本国送還、帰還」とも訳され、海外に保有していた資産を売却して自国通貨に換金することを意味します。

災害時に円高になる理由として、国内保険会社の「リパトリエーション」があるとも言われます。大規模な災害が発生したことで、多額の保険金を支払わなければならない。そのため「日本の生損保が保険金支払いのために外貨資産を売って円買いをして円高が進んだ」とする考えです。

プロの投資家はそうは見ていない

しかし、仮に東日本大震災クラスの災害が発生し、支払わなければならない保険金額を試算したとしても、日々膨大に取り引きされる外国為替市場全体の金額からすると、その金額はわずかなものであるとされます。

市場全体が「プールの水」に例えると、必要となる保険金額は「バケツの水1杯」程度。そのため、為替相場全体に影響を与えることは無いと考えられます。

資産売却の必要はない

また、仮に東日本大震災クラスの被災状況であっても、日本の保険会社の財務状況からするとわざわざ海外資産売却する必要はないようです。

「ゴールドマン・サックス証券の試算では、国内損保業界の支払予想額は6000億円強。大手3社の手元資金は1兆円近くあるため、わざわざ海外の資産を売って国内に資金を戻す必要性は低い」(日本経済新聞 2011年3月17日付)

まとめ

どうやら震災で円高が進む理由には、「実需の面」(保険会社のリパトリエーション)ではなく、「投機的な面」(リスク回避の動き)」と考える方が一般的なようです。

出典:大震災危機でなぜ円高になるのか/日経ビジネスオンライン